算数と数学の考え方の違い
小学校の算数から中学校の数学になって何が変わったのでしょう?
図形など,算数から数学へ引き継がれた内容もあります。
算数と数学の一番大きな違いは「考え方」にあります。
算数ではどこから手を付けたらいいのかさえ分からなかった問題も,数学で武器を手に入れることで,誰にでも解けるようになります。
その武器は,アインシュタイン少年が叔父に「代数はずるい算術」といわれた「代数の方程式」です。
熟練が必要な弓矢だけだった時代に,火縄銃が入ってきて足軽でも扱えるようになったように,方程式を使えば中学入試の文章題難問も容易に解けるようになります。
ただし.火縄銃が衝撃のため,弓矢のように立ったまま打てなかったように,方程式を使っても算数と同じ考え方を使っていたのではその威力は半減されてしまいます。
「ずるい中学数学」では,はじめに算数の特殊算を通して「算数と数学の考え方の違い」を学んでいくことにします。
初めの目標
「食塩水の濃度」(2022灘高校)を初めの目標とします。この問題が自力で解けるようになれば,特殊算のほとんどが解けるようになります。
灘高2022
ある容器に$~15\%~$の食塩水が$~200~\text{g}~$入っている。
この容器から$~x~\text{g}~$の食塩水を取り出し,そのかわりに$~x~\text{g}~$の水を加えた。
さらに続けて,この容器から$~2x~\text{g}~$の食塩水を取り出し,そのかわりに$~2x~\text{g}~$の水を加えた。
このとき,食塩水に含まれる食塩の質量を$~x~$を用いて表しなさい。
この食塩水の濃度が$~7.2\%~$であるとき,$x~$を求めなさい。
この問題の一般的な解答例は次の通りです。
1.食塩水に含まれる食塩の質量は,
2.はじめが,$~200\times\dfrac{15}{~100~}=30(g)$
3.一回目の入れ替えで,$~30\times\dfrac{~200-x~}{~200~}(g)$
4.二回目の入れ替えで,$~30\times\dfrac{~200-x~}{~200~}\times\dfrac{~200-2x~}{~200~}$$=\dfrac{~3x^2-900x+60000~}{~2000~}(g)$
解答1 $\dfrac{~3x^2-900x+60000~}{~2000~}(g)$
5.入れ替え後に7.2%の食塩水になったので,
6.$\dfrac{~3x^2-900x+60000~}{~2000~}=7.2\times\dfrac{~200~}{~100~}(g)$
後は計算するだけ
$x^2-300x+10400=0$
$(x-40)(x-260)=0$
$x<200~~$より,
解答2 $x=40$
解答のどの段階までわかりますか?
1.の「食塩水に含まれる食塩の質量」に注目するのはわかりますか?
2.の式がどう考えてつくられたかわかりますか?
解答を読んでも理解できなかったのではないでしょうか?
算数の得意な子は,算数的な「直観力」にひいでていて,今回仮に解けなかったとしても,この解答を難なく理解して,パターンとして記憶し,次からは類題が出題されても自力で解けるようになります。
解答例のような算数の得意な子と同じ考え方で,どんなに頑張って勉強しても,数学ができるようにはなりません。
「ずるい中学数学」では,「直観力」を鍛える算数的方法に頼らず,なるべく頭を使わない「ずるい」方法を学習していきます。
前回と同じように,問題文の分割をします。
「食塩水の取り出しのとき濃度は変わらない。」
「水を加えたとき,食塩の量は変わらない。」
この2つの条件から問題文を書き換える。
容器Aに$~15\%~$の食塩水が$~~~200~\text{g}~$入っている。
容器Bに$~15\%~$の食塩水が$~(200-x)~\text{g}~$入っている。
容器Cに$~~y~\%~$の食塩水が$~~~200~\text{g}~$入っている。
容器Dに$~~y~\%~$の食塩水が$~(200-2x)~\text{g}~$入っている。
容器Eに$~7.2\%~$の食塩水が$~(200)~\text{g}~$入っている。
容器Bと容器Cの食塩の量は同じ。
容器Dと容器Eの食塩の量は同じ。
この仮定のとき,$x~$を求めなさい。