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算数と数学の考え方の違い

(1) つるかめ算

つるとかめが合わせて10匹,足の数が合わせて30本であるとき,つるとかめは何匹(何羽)いるか。ただしつるの足は2本,かめの足は4本である。

算数的考え方

1.仮定:10匹すべてがつるであるとすると,足の数は全部で2×10=20本となる。
2.実際との差:これは実際の本数に比べて$~30-20=10$本少ない。
3.補正の準備:この10本の差を,つるとかめを交換する操作によって補う(つまり,つるを一羽ずつ減らし,かめを一匹ずつ増やしていく)。この操作を行う度に,つるとかめの足の本数の差つまり$~4-2=2$本ずつ,足の数が増える操作をすればいい。
4.補正:10本の差を埋めるには,$10÷2=5$回この操作をすればよい。
5.すると10匹のうち5匹がかめに置き換わり,つるは10-5=5匹が残る。
6.したがって,つるは5匹,かめは5匹となる。


赤字の部分が頭の中で決定した考えの手順,筋道です。この筋道のうち1つでも思いつかなければ答えにたどり着けない。全体を通した1本の筋道を1つの間違いもなく答えまでたぐっていかなければならないというのは,迷路を進んでいくようなものです。
問題がより複雑になるとはじめの仮定すら思いつくのが困難になります。

代数を使って

これを中学数学で学ぶ未知数を文字に置き換える代数を使って解いてみます。
かめの数を$~y~$とすると,かめの足の総数は$~4y$
総数が$10$なので,つるの数は$~(10-y)$
つるの足の総数は$~2(10-y)$
足の数の総数は$30$本なので,
$4y+2(10-y)=30$

方程式を解く
$(4-2)y=30-2\times 10$
$y=5$
かめの数は$~5$
つるの数は$(10-y)=5$

この解答どう思いますか?
方程式さえ作れてしまえば,代数のルールに沿って機械的に答えを求めることができる。
しかし,この場合でも,頭の中で考える部分は多いと思いませんか?
赤字の部分が頭の中で考えて方程式を立てている部分です。このうち1つでも思いつかなければ答えにたどり着けないのは算数と変わりはありません。なぜそうなるのかというと,文章の順番通りに数式に翻訳していないからです。つまり,中学数学で学ぶ代数は使っているのに考え方は算数のままなので,普通の人にはまだまだ問題が難しいと思ってしまうことでしょう。

数学的考え方

問題文の順番通りに数式に翻訳してみよう。

つるとかめが合わせて10匹,足の数が合わせて30本であるとき,つるとかめは何匹(何羽)いるか。ただし,つるの足は2本,かめの足は4本である。

(つるの数)+(かめの数)=10
(つるの足の総数)+(かめの足の総数)=30
(つるの足の総数)=2$\times$(つるの数)
(かめの足の総数)=4$\times$(つるの数)


簡単化

頭の中で考える赤字の部分がずいぶん少なくなっています。
これらを文字を使って表して解答をつくっていきます。

(つるの数)を$~x$,(かめの数)を$~y$
(つるの足の総数)を$~a~$,(かめの足の総数)を$~b~$ と置くと
$x+y=10$    (1)
$a+b=30$    (2)
$a=2x$
$b=4y$

$a,b~$を(2)に代入して両辺を2で割ると
$x+2y=15$   (2')
(2')-(1)より
$y=5$
かめの数は$~5$
(1)より,つるの数は$5$

「文章の順番通りに数式に翻訳」できています。
文章を分解」して,その後ろにある文章を使わずに,「分解した文章ごとに数式に翻訳」していくということです。

1.文章を分解
2.分解した文章ごとに数式に翻訳


単位に注目

頭の中で考える赤字の部分まで,自動的に求められないだろうか?
実は,単位をしっかり考えてやれば,この問題は解決します。
個体数の単位は(匹),足数総和の単位は(本),そして,個体あたりの足数の単位は(本/匹)なので,
(本/匹)$\times$(匹)=(本) から

個体あたりの足数(本/匹)$\times$個体数(匹)=足数総和(本)

という関係があることがわかる。

ずるい中学数学

理解しやすいように視覚化するために,単位の関係から表を作ってみることにする。
文章に書かれた順番通りに文章中の値と条件を表に代入する。

つるとかめが合わせて10匹,足の数が合わせて30本であるとき,つるとかめは何匹(何羽)いるか。ただしつるの足は2本,かめの足は4本である。

個体あたりの
足数(本/匹)
個体数
  (匹)
足数総和
   (本)
つる $2$
かめ $4$
合計 $10$ $30$

青や赤の背景は1行目と2行目の和が3行目になることを表している。
求めるつるとかめの個体数を$x, y$ と置き,
個体あたりの足数(本/匹)$\times$個体数(匹)=足数総和(本)
の関係から穴を埋めると

個体あたりの
足数(本/匹)
個体数
  (匹)
足数総和
   (本)
つる $2$ $x$ $2x$
かめ $4$ $y$ $4y$
合計 $10$ $30$


個体数の合計が$10$,足の合計が$30$ という条件を表に描く

個体あたりの
足数(本/匹)
個体数
  (匹)
足数総和
   (本)
つる $2$ $x$ $2x$
かめ $4$ $y$ $4y$
合計 $10$ $30$


個体数の合計と足の合計から
$x+~~y$ $=10$    (1)
$2x+4y$ $=30$    (2)

$x+2y$ $=15$    (2')
(2')−(1)  $y$ $=5$    (3)
(1)−(3)   $x$ $=5$


頭を使うところは単位の1つだけ,あとは文章に従って空欄に穴埋めしていけば誰でも連立方程式を作ることができる。しかも,「筋道のうち1つでも思いつかなければ答えにたどり着けない」という答えにたどり着くのが難しい算数的な考え方を取り除くことができてしまった。これがアインシュタイン少年が学んだ「ずるい算術」といわれる方法です。

他の5問を解くことができますか?
算数的な全体の筋道を立てて答えを求めるのは難しい。
問題ごとに表を穴埋めして方程式を作ってみよう。



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